変動の時代に寄せて ~今、大切なこと~
2020年、世界中を新型コロナウィルスが駆け巡り、我々の日常は一変した。
予想だにしなかった、混乱、恐れ、閉塞感が、突如やってきた。
……しかし、実際は何事もいきなり起きるわけではない。静の裏には動が、動の裏には静がある。平穏な日常の根底で、様々な力や思惑が常に働き、ある時それが表に出る。
どんな状況にも、表面的な見かけの裏で働く力が必ずある。裏に働く力は、いずれ次なる展開として表に現れてくる。
タロット占いでは、この表の像と裏の力を必ず読む。個人の日常や世の中に起きる様々な出来事を見つめ、それがいったい何を告げているのか、何を教えようとしているのか、底流にうごめくエネルギーがタロットカードに現れる。占い師は、その真意とメッセージを読み取り、それをこれからを生きる指針として言葉にする。
今、そしてこれからの世界を、タロットで読み解いてみた。
現在、世界は明らかに大きな転換点にある。
これまでは目に見える物質世界がすべての基盤、自他に境界を設け、比較と競争、所有と防御が、根本に働く原理だ。
一方で、新たな時代は、心に重心がくる。目に見えるものより、感じること、感覚と感情が基盤となってくる。目に見える結果や形よりも、表現やつながりからくる“実感”が大切な価値になる。
現在は、終わっていく旧い世界と、始まった新しい世界、二つの相反するエネルギーのコントラストが鮮明になっている時だ。
見かけ上は、旧い世界の原理である“安定・持続”を志向する力が、崩れまいと働くため、世の中も、個人の内面も、かつてないまでに緊張と閉塞感でいっぱいになっているが、同時にその裏で、自由に己を表現し、互いに伝え、分かち合いたいという欲求が、どんどん強くなっている。
この緊張はもうほとんど飽和状態にある。張りつめたものは必ず弾ける。この閉塞状況は長くは続かない。
これまでの「安定した世界」を支えていた当たり前のもの、様々な組織、制度、人物、関係性の、見えなかった面が顕れてくる。旧い世界の生き方に重心を置いていた人ほど、価値観が揺さぶられ、混乱する。
世界は、新しい世界に勇気と挑戦心を持って踏み出す人と、恐れと不安の中で旧い世界にしがみつく人とに二極化する。
誰にとっても踏ん張り時がやってくる。タイミングと形は様々だが、一人残らず試される。
新しい時代は、計算や策略は、これまでのようには役に立たなくなる。また、誰かに依存したり、他人を利用しようとしたりするのも難しくなる。
大切になるのは、他人や世間を気にするのではなく、自分自身の本当の気持ちに目を向け、それを生きる軸とすることだ。
正解や不正解かは問題ではない。実のところ、正解や不正解などというのは、単に言葉でしかないということに、誰もが気づくようになる。
成功の物差しは、勝ち負けや損得ではなく、自分をあるがままに表現できるかどうかになる。何事も、真心と正直さを持って、自分で決めること。
落とし穴は罪悪感と自己否定。そして、反省や想定の思考にはまり込むことだ。
ぐるぐる案じ続ける人ほど、幸せから遠ざかる。
身体を整え、心を静め、シンプルに正直に、目の前のことに集中する。それができれば、可能性は無限に広がり、悩んでも得られなかった様々なアイデアや縁の方からやってくる。そして、楽しく仲の良いつながりが広がっていく。
誰もが揺さぶられる変動の時。
落ち着きと、素直さ、遊び心を持って、正直に生きること。
それができるか? 今、一人一人が試されている。