心の色を映す花
逢いことばには、玄関の赤い扉横に大きな窓があります。
店のファサードとしてのこの窓辺には、来てくださるお客様や近隣の方に楽しんでいただくために、季節の花々をいつも飾るようにしています。
親しいお花屋さんでのブーケレッスンに参加して自分で束ねる花束や、素敵なセンスあふれるプロのフローリストに作ってもらう花束など、多彩な花々を窓辺に飾ることを、私自身、毎回とても楽しんでいるのですが、こういった大きなブーケだけでなく、お店のテーブルや棚に飾るための花をしつらえることも、大好きです。
花を一輪飾るときには、ブーケを作る時とはまた違う心持ちになります。
花一輪と真摯に向き合うとき、想像以上に自分自身と向き合うことを促される気がします。
「どうして、今日の私はこの色を選んだんだろう」
「数ある花々の中で、どうして私はこの花を選んだんだろう」
「どうして、私はこの場所に花を飾りたいと思ったんだろう」
それは、一輪の花からの問いかけなのかもしれません。
飾られる花は、花を飾るその人以上に、折々の感情や気分、心の色を、端的にありのままに見せてくれている。そんな風に思うのです。
花を飾ることに、もちろん正解も不正解もありません。
その時の自分が「好きだ」と感じた花を、思いのままに楽しめばいい。
作法や流儀を知らなくても、気持ちを楽にして、素直に花と向き合うことで、今の自分のありのままの心の色を感じてみる。
そんな花の楽しみ方も、悪くないと思うのです。
すべての出会いは、一期一会。
花との出会いも、一期一会。
その時々の、そこにしかない、心の色が現れます。