広がりを楽しむ 〜植物たちと、逢いことば~
逢いことばには、開店当初からの“オープニングスタッフ”のような観葉植物たちがいます。
パキラ、ベンガルゴム、そして外のベランダに置いたオリーブの木の3つです。
そのうち、パキラは店のオープンに合わせて一番初めに選んだ木で、店に入ってもらったのも、内装が仕上がった直後、まだ什器や家具を搬入する前のタイミングでした。
店に一番乗りで入ってきてくれたパキラの木。他の植物や什器が続々と搬入される中、まるで番頭のように、ずっとその様子を見守ってくれていました。
開店前に撮ったパキラの木の写真を改めて見ると、まだ若々しく、まるで子供のような無邪気なエネルギーにあふれているように感じます。
でも、実はそんなパキラの木には、開店当初、ちょっとした危機があったのです。
店のオープンに際してのお祝いで、たくさんの方から植木鉢やお花をいただいたのですが、続々と届くお祝いの鉢が店内に収まりきらなくなる中、パキラの鉢の置き場所に困る事態が発生しました。
あっちに置こうか、こっちに置こうか、パキラの鉢をぐるぐる動かしながら思案する中で、決して“厄介モノ”というわけではなかったのですが、なんとなくパキラの置き場所を“困りごと”のごとく扱うようになってしまいました。
場所がないので、いよいよパキラを自宅に持ち帰ろうかという話をしていた翌朝のこと、なんと、パキラの葉の一部が一夜にして黄色に枯れて、そのうちの1枚が床に落ちているではありませんか!
昨日まで美しい緑色だった葉っぱが、一夜にして黄色く枯れてしまったのです…。
それを見つけたときは本当に衝撃を受けました。そして思い当たる原因はただ一つ、パキラをまるで困りモノのように扱ってしまったことだと、直感的に感じました。
以前、こんな話を聞いたことがあります。
ある土地の部族は、道を開墾するために大きな木を倒さねばならなくなったとき、みんなでその木を囲んで、寄って集ってその木の悪口を何日にも渡り延々言い続けるのだそうです。
そうすると、木はどんどん枯れていって、最後にはついに倒れてしまうとのこと。
まるで嘘のような話ですが、言葉に宿る言霊の、「負」のエネルギーを送って木を枯らすというのは、あり得ない話ではないと思うのです。
ただ、そんなふうに悪口を散々言われながら命が尽きてしまう木のことを思うと、なんとも悲しくて、切なすぎる話ではあるのですが…。
そんな話を思い出したのも、パキラの木に対しての無意識の「困りモノ」扱いが、パキラにダイレクトに伝わってしまったことを、私に教えるためだったのかもしれません。
大変申し訳ないことをしてしまったパキラには、すぐに心から謝って、元いた場所に戻してあげました。それから毎日、愛と感謝と労いの気持ちを伝え続けました。
一時はどうなることかと案じたパキラでしたが、その後、なんとか持ち直し、今では毎年元気に新葉を伸ばしながら、素敵な緑をのびのび広げてくれています。
植物や動物は、人間が話す言葉こそ使いませんが、同じように尊い命と意思を持った素晴らしい生命体です。フラワーエッセンスやジェモエッセンスも、植物の命の最高峰の表現である花や新芽のポジティブなエネルギーをいただくことで、私たちの感情や体調を整えることを助けてくれます。
パキラの一件は、あらゆる存在がエネルギーとして相互に影響しあうことを改めて教えてくれたとともに、愛や感謝や真心の気持ちは、種や個を超えて、互いを勇気づけたり、励ましたりする大きな力になることを実感させてくれました。
そしてそれは、植物療法士として、植物の恵みを使わせてもらう私にとっての、とても大切な原点のひとつにもなってくれています。
逢いことばは、この6月で2周年を迎えました。
これまでの月日をずっと一緒に歩んでくれている植物スタッフくんたちも、2年の節目を機に、プロの庭師さんに依頼して、先日鉢の植え替え作業をしてもらいました。
2年の間に、それぞれが自分のペースですくすく育ってくれた植物たち。
これまでの鉢ではやや窮屈そうに感じられたため、これからも元気にがんばってもらうためにも、専門家のお力を借りての作業でした。
ひとつひとつ丁寧に植え替え作業をしてもらった植物たちは、ひとまわり大きなピカピカの鉢で、みんなのびのび一息ついているように感じます。
開店当初はセッションのみのサービスだった「逢いことば」ですが、2年たった今は、占いや植物療法の講座、毎月のワークショップの開催なども加わり、この場所を好きだと感じてくださるお客様の後押しもあって、植物のように自由にのびのび、新しい形に広がっていっています。これからもたくさんのお客様にこの場所を気楽に楽しんでいただけるように、7月には、ホームページも新たに改修する予定です。
「自由に、のびのび、おおらかに。広がることを楽しんで。」
店の植物たちが常に伝え続けてくれている、こんなメッセージを大切にしながら、私たち自身も、これからの「逢いことば」の広がりと変容を楽しんでいきたいです。