2020.10.25源庫

信頼という宝物 ~人生に任せる~

「彼は信頼できる」
「あいつは信頼できない」
「この情報は信頼できる」
「あの会社は信頼できない」

日頃、何気なく使っている“信頼”という言葉。
それを口にする時、我々は、その対象である誰か、あるいは何かが、信頼に足るか否かを考慮して話すのが普通だ。
しかし方向をちょっと変えて、信頼について考えてみると、幸せへの鍵が見えてくる。
ここで目を向けるのは、信頼する対象ではない。その前に、そもそも自分自身が、“何かを信頼する”という資質を備えているかどうか、である。

何かを信頼している時、その人の心は安らかだ。一方、何かを信頼できない時、心は不安や疑いで、落ち着かなくなる。
信頼とは、単にある対象への評価や期待を表す物差しなのではない。信頼という資質そのものが、それを持つ人に計り知れない喜びをもたらす人生の宝なのだ。

必ず自分の願いは届くという信頼。
必ず夢は叶うという信頼。
必ず神様が守ってくれているという信頼。
人生は素晴らしいという信頼。
仲間への信頼。パートナーへの信頼。自分への信頼。世界への信頼。

望みが叶うか否か、相手が応えてくれるか否かなど問題ではない。信頼という状態それ自体が、自分への素晴らしい贈り物なのだ。

信頼は、深い安らぎをくれる。
信頼は、明るい気分をくれる。
信頼は、落ち着きと冴えた思考をくれる。
信頼は、澄んだ素直な心をくれる。
本当に信頼できれば、それだけでもう、限りなくありがたい喜びをいただいているのだ。
その末に、夢や願いが叶ったら、それはそれで嬉しいだろうが、もはやおまけのようなものだ。

まったき揺るぎない信頼を伴えば、当然のごとく、あらゆる願いは実現される。
だが、信頼すれば叶う、信頼したんだから叶う、叶えるために信頼する、という意識が少しでもあるのなら、それはもはや信頼ではなく取引だ。
取引は、信頼がもたらす安らぎ、明るさ、落ち着き、素直さという贈り物とはまったく逆のものをもたらす。

信頼の中でも、もっとも素晴らしい信頼は、人生への信頼だ。
あなたの人生はあなたより大きい。あなたの人生はあなたより賢い。

本来、あなたの人生は、あなたが最高の成長を遂げ、最高の喜びを得るための、あなたのためだけの特別なメニュー、特別なコースを用意している。様々な出来事、出会い、別れ、獲得、喪失……。そのどれもがあなたに今回の生で得られる果実を存分に味わわせ、楽しませ、深い満足に必ず運んでゆく。

人生で起きる本当に面白いことや、大事な転機は、いつも自分の計画や思惑を超えてもたらされる。それに気づき、人生を信頼する素晴らしさをひとたび知ると、あなたはもう、小さな頭であれこれ策を弄したり、用心したりしなくなる。それが、あまりに貧しく、つまらないことだと感じるからだ。
そして、未知こそが面白いと感じるので、未知を恐れることから来る心配や不安というものも起こらなくなる。ついには、なぜ計画や想定なんてことをするのか、意味がわからなくなる。
ただ、自然な思いのまま、感じるままに、人生という川を流れていき、現れる風景をいつも新鮮に楽しむ。景色はどれ一つとして同じではなく、いつも発見と驚きがあり、飽きることがない。

幸いなるかな、一点の曇りもなく信頼する者!
世界は彼に、限りない喜びと祝福を恵むのだ。