石に花
「石に花」
現実に起こるはずのない、あり得ないことを例えた言葉です。
石は、硬く不変なものの例えですが、一方で「石の上にも三年」や「雨垂れ石を穿(うが)つ」、「石に立つ矢」など、長い時間をかけることで少しずつ形を変えたり、強い思いを抱くことで“できない”と思われるようなことでも実現したりするような物事の例えにも使われています。
あり得ないことを表すのに「石」という言葉が使われる一方で、実現不可能と思われるようなことができてしまうのを表すのにも「石」という言葉が使われる。
同じ「石」が対極の意味で使われるのは、なんとも趣深いものです。
どこに目を向けるか、何を意識するかによって、目の前の世界の現れ方が違ってくることに思い至らせるような、そんな日本語の豊かさと知恵を感じます。
「石に咲く花」には、確かにあまりお目にかかりませんが、固定観念を捨てて身の周りの景色を見る目を少し変えてみると、世界との思わぬ出逢いがたくさん待っているのかもしれませんね。