出逢いの花
これまでの人生で、花との印象深い出逢いが3回あります。
最初の出逢いは、まだ幼稚園に上がる前の頃、春になると道端や空き地にたくさん現れる、オオイヌノフグリを見つけた時です。小さな子どもならではの大地に近い目線で、いろいろなものが大きく見える時代だったのだろうと思います。可憐な瑠璃色の小花の美しさに、子ども心に衝撃を受けました。こんなにきれいなお花があるんだ、ということに、大げさではなく打ちのめされたような感覚でした。花というものの存在を、全身で意識した初めての出逢いでした。
二度目の出逢いは、小学校4年生の時、どなたかのお宅の花壇で育てられていた一輪の桔梗を見かけた時です。通りすがりに目に入ってきたその花の、凛とした気高い美しさに、衝撃を受けました。「気品」という言葉の意味を、本質的に理解した気がしました。
三度目に出逢った花は、京都の北野天満宮の梅のつぼみです。社会人になって京都を一人旅した時に、まだ見頃を迎える前の梅園を歩いていた時。最初は「満開のタイミングに合わなくて残念だなぁ」なんて思いながら歩いていたのですが、ふと梅の木をよくよく見てみると、これからいよいよ花を咲かせようとする梅のつぼみのエネルギーが辺りに充ち満ちていて、その力強さに圧倒されました。花を咲かせることへの、つぼみの明確で強烈な「意志」とでもいうようなものを感じたのです。そのエネルギーがあまりに力強かったので、しばらくその場から動けないような感覚に陥りました。
花を一輪飾るだけで、その場の空気がふわりと柔らかくなったり、明るくなったりするのを感じる方は多いと思います。
多くの人々が感じる、そんな「柔らかさ」や「明るさ」こそ、花の持つエネルギーなのでしょう。私自身も、人生の折々で出逢ったそれぞれの花のエネルギーを、無意識に感じたのだろうと思います。
人の心を柔らかくほぐしたり、気分を晴れやかにしたり、感情のバランスを整えたりするために用いられるのが、フラワーエッセンスです。フラワーエッセンスは、それぞれの花のエネルギーが、人のどんな感情や心の状態に作用するかを個別に体系化したものです。
その調合は、まさに人と花との出逢いをつなぐようなもの。セッションを通じて、今、その方にとって一番力になるようなエネルギーを持つ花のエッセンスを選んでいきますが、最終的には花の方から、その方のサポートになることを名乗り出てきてくれるような感覚です。
そういった花からの声をしっかり受け止めてエッセンスを調合するのが私の仕事。私が使っているのはオーストラリアの花のエッセンスですが、世界最古の大陸で逞しく育った美しい花々は、それぞれの個性を持って、とても穏やかに、でもパワフルに、人の心や感情に働きかけてくれます。
一つ一つの花のエネルギーに関する知識や情報をしっかり踏まえつつ、何よりも花そのものの優しさや深遠さに敬意を抱きながら、これからも謙虚な気持ちで、人と花との出逢いに立ち会っていけたら。そんな気持ちで、今日も「逢いことば」で過ごしています。