2019.06.20源庫

逢いことば

店を立ち上げるまでは、これからの人生、やりがいのある仕事をしていきたいな。充実した日々を送っていきたいな。とよく考えた。
そして、店を始めるからには、うまくいくといいな。お客さんがいっぱい来てくれるといいな。という思いもあった。
そのためには、必要なことは何だろう? どんな工夫をすればいいのかな? なんて、思ってた。

一方で、自分たちを信じていたし、自分たちならきっとうまくいく、という根拠のない安心感があって、それがために、店を立ち上げた経験も全くないのに、ほとんど不安らしい不安もないままに、いい物件、いい不動産屋さん、いい店舗デザイナー、いいウェブデザイナーに恵まれ、するする物事が展開して開店に至った。



しかし、いざ店を開き、いよいよ営業を始めてみると、思いも考えもスタンスもみるみる変わった。

ここは、自分たちのものではないんだ。
自分が何をやりたいか、ではない。
自分の表現の場でも、自己実現の場でもないんだ。
それを強烈に感じ確信した。

「逢いことば」という名前も、店の立地も、内装も、看板も、調度品も、占いも、フラワーエッセンスも、プランも料金も、何もかもが、この場所を必要とするたくさんの人々、まだ見ぬ人々に引き寄せられて現れたんだ。ということを疑いようもなく、実感した。

そして、このサロンで自分が発する言葉の一つ一つ、今こうして書いている言葉の一つ一つも、全ては、何かの必然に導かれて現れることを、感じないではいられない。
こんなことを言おう、こんなことを書こう、そんなエゴや意図が働くと、たちまち頭も心も滞り、不自然で干からびた思考が虚しくつぎはぎされるばかりであるのが、どうしようもなくわかる。

全て、何一つ、自分で為したわけではない。全てが必然。

決してここは、誰かのものではない。この場所は、“所有”を超えている。
何か不思議な、浄化と再生、気づきと成長のための社(やしろ)なんだ。

自分の頭でそう考えたわけでもひねり出したわけでもない。ただただ、圧倒的な確かさで、この本質が自分を貫き、包み、溶かしてしまったのだ。

もはや、やることは、全てがしかるべく健やかに表れ、流れるように、我が身我が心を整えるばかり。
「逢いことば」へやってくるお客さん一人一人、みんな何かの力が働いて、大切な縁があってやってくる。そして、ともにつながり、何かを溶かし、何かに気づく。交わすことばを通して、見えなくなっていた自分と出逢い、世界と出逢う。

こんにちは!